ミイヤ(せいくん4)
ある日からミイヤがこなくなった
何日待っても現れなかった
「メエアメエアメエア」
せいくんは夕方の深くなる淋しさの中で
ミイヤを呼んだ
毎日毎日ミイヤを呼んだ
ミイヤ(せいくん3)
せいくんはミイヤの人間だった
夕方草の原で隠れたり見つけられたりした
そのあとたっぷり撫でてもらった
ミイヤはせいくんの猫だった
母親が仕事から帰るまでの間
ミイヤを撫でていると心がすべらかになった
■
飼い主待つ猫は飼い主の足音だけを知っている
■
猫待つことが私が居る理由とその人は言った
ミイヤ(せいくん2)
「ミイヤおいで」と言うのをせいくんは
「メエアあええ」と言った
友達は笑い からかって真似をした
どんなふうに呼ばれようと
ミイヤはちゃんとわかった
ミイヤ(せいくん1)
ミイヤはせいくんの猫だった
学校から帰ってからの一人きりの時間
せいくんはミイヤの人間だった
夕方の遊び相手がほしい時間