猫まち

山崎るり子・みじか詩

   川のほとり

待つのはやめて捜しに出たのです

何十年も旅をしているのです

今はもう何を捜しているのか分からなくなってしまった

子どもの頃何度も呼んだ名前

腕の中の温かい重さ

ああ あとほんの少しで思い出せそうなのにと

そのおじいさんは言った