猫まち

山崎るり子・みじか詩

   通学路

「交通安全」と書かれた旗を

風が揺らしていく

昨夜轢かれた子猫の塊は

まだ何も知らずに動く旗の影で遊んでいる

体から散った白い毛は風に運ばれて

川岸のアカシアの天辺をかすめ

たんぽぽの綿毛といっしょに

まだ空にいる