猫まち

山崎るり子・みじか詩

   ヨモタさんちの猫(10)

「私はずっと待っていた

でも私が待たれていたなんて」

ヨモタさんのお母さんはヨモタさんに夢の話をする

「だから私が帰ればいいんだ 私が帰っていくんだよ もうすぐ会えるよ」

風が壁に貼られた猫の切り絵を

カサカサカサ踊らせる

白い猫の切り絵の影がくっきりとおばあさんに届く