猫まち

山崎るり子・みじか詩

   月 7

「ありがとう ではね」おばあさんはうれしそうに言って

よろよろとその場所にしゃがみ込んだ

「じゃあね」猫もうれしそうに言って

よろよろと草藪の中に入っていった

遠いところから来た光を反射させて

月は真上に昇り

町は湖の底の白い砂のように動かなかった