猫まち

山崎るり子・みじか詩

   ヨモタさんちの猫(6)

ヨモタさんのお母さんの溜めこんだデパートの紙袋が廊下まで溢れ出す

「明日は捨てますよ」とヨモタさん

翌日帰ると百の紙袋から百匹の猫が首を出している

お母さんは紙袋をぶら下げブランコのように揺すり

「やってごらん猫が喜ぶから」

ヨモタさんは両手に紙袋を持ち交互に大きく揺す

ブーランブーランブーランブーラン

全部の猫を喜ばすため一晩中ヨモタさんは揺する