猫まち

山崎るり子・みじか詩

   ヨモタさんちの猫(8)

月の明るい晩,ヨモタさんが帰ってこないお母さんを捜しに行くと

公園で踊っているのは猫ばかり

その中の一匹 丸くなってしまった背中は

猫に見えるけれどお母さんだ

「そろそろ帰りましょう」ヨモタさんが手を引くと

「お前は冷たい手をしているねぇ」お母さんが笑う

月の光の中で静かに賑やかに猫たちはまだ踊っている

陰がブランコを順番にくぐっていく